漁獲可能量とは?持続可能な水産資源利用のために知っておきたい基礎知識
環境が気になる
漁獲可能量って制度って、どういったものなんでしょうか?
地球環境の専門家
漁獲可能量とは、魚種ごとの毎年の漁獲量を定め、水産資源の適切な保存・管理を行う制度のことです。
環境が気になる
水産資源の保存・管理はなぜ必要なんでしょうか?
地球環境の専門家
水産資源を適切に管理しないと、乱獲による資源の枯渇や、漁業者の収入の減少などの問題が起こります。
漁獲可能量とは。
「漁獲可能量」とは、水産資源を維持するための持続可能な漁獲量のことです。1996年に日本政府は国連海洋法条約を批准し、これを受けて海洋生物資源の保存及び管理に関する法律(TAC法)が制定されました。TAC法第2条では、TACを「排他的経済水域等において採捕することができる海洋生物資源の種類ごとの年間の数量の最高限度」と定義しています。
TACの対象となる魚種は、次の3条件のいずれかに該当するものです。
1. 漁獲量が大きく、国民生活上重要な魚種
2. 資源状況が悪化し、緊急に管理する必要がある魚種
3. 日本周辺で外国人が漁獲している魚種
また、TACの設定には、科学的知見の集積が必要とされています。
現在、日本政府は、さんま、すけとうだら、まあじ、まいわし、まさば・ごまさば、するめいか、ずわいがにの7魚種をTACの対象魚種として指定しています。
漁獲可能量とは何か
漁獲可能量とは、一定期間内に漁獲しても、水産資源の持続可能性を維持することができると考えられている漁獲量のことです。 漁獲可能量を決定する際には、水産資源の現況、資源の増減率、漁獲努力量などの様々な要素を考慮します。
漁獲可能量の考え方は、1980年代以降、水産資源の枯渇が世界各地で問題となるようになり、注目されるようになりました。それ以前は、漁獲努力量を増やせば増やすほど、漁獲量を増やせるという考え方が一般的でした。しかし、水産資源は有限であり、特定の限界を超えて漁獲すると、資源が回復できなくなり、枯渇してしまうことが次第に明らかになってきたのです。
漁獲可能量の考え方を取り入れることで、水産資源の枯渇を防ぎ、持続可能な水産資源利用を実現することができます。 漁獲可能量は、単に漁獲量の上限を決めるというものではなく、水産資源の持続可能性を確保するための重要な指標なのです。
漁獲可能量の目的と重要性
漁獲可能量とは?持続可能な水産資源利用のために知っておきたい基礎知識
水産資源は、近年、海洋汚染や乱獲などによって、その維持が困難な状況にあります。漁獲可能量とは、水産資源をを持続可能な形で利用するために決められた漁獲量のことで、水産業や漁業関係者にとって重要な概念です。
漁獲可能量の目的と重要性
漁獲可能量は、水産資源の枯渇を防ぎ、持続可能な水産資源利用を実現するための重要な指標です。漁獲可能量は、水産資源の量や状態、漁獲努力量などの様々な要因を考慮して決定されます。漁獲可能量以内での漁獲を行うことで、水産資源の枯渇を防ぎ、将来にわたって水産資源を維持することが可能となります。また、漁獲可能量を守ることで、水産資源の価格を安定させ、漁業関係者の収入を確保することもできます。漁獲可能量は、水産資源の持続可能な利用を図るために欠かせない概念であり、水産業や漁業関係者は、漁獲可能量を遵守することが重要です。
漁獲可能量の決め方
漁獲可能量とは、生物資源の持続性を維持するために、一定期間に漁獲することができる魚介類などの生物資源の最大量のことを指します。漁獲可能量は、水産資源の状況や漁獲努力量、生態系の状況などのさまざまな要因を考慮して決定されます。
漁獲可能量の決め方は、漁獲努力量を調整して設定されます。漁獲努力量とは、漁獲量を増加させるために投入される労力や資本の量のことです。漁獲努力量を調整することで、漁獲量をコントロールし、漁獲可能量を維持することができます。
漁獲可能量は、水産資源の状況や漁獲努力量、生態系の状況などのさまざまな要因を考慮して決定されます。水産資源の状況は、魚介類の個体数や成長率、産卵量などの指標によって評価されます。漁獲努力量は、漁獲方法や漁獲量、漁獲日数などの指標によって評価されます。生態系の状況は、水温や海水温、プランクトンの量などの指標によって評価されます。
漁獲可能量は、水産資源の持続性を維持するために、とても重要な指標です。漁獲可能量を超えて魚介類を漁獲すると、水産資源の枯渇につながり、生態系にも悪影響を及ぼします。漁獲可能量は、水産資源の持続性を維持するために、適正な水準に設定することが重要です。
日本の漁獲可能量の対象魚種
日本の漁獲可能量の対象魚種は、大きく分けて乱獲魚種と非乱獲魚種に分けられます。乱獲魚種とは、乱獲により資源量が減少し、漁獲規制の対象となっている魚種のことです。日本では、サンマ、マイワシ、サバ、イワシ類などが乱獲魚種に指定されています。一方、非乱獲魚種は、乱獲による資源量の減少が懸念されていない魚種のことです。日本では、マグロ類、カツオ類、ブリ類、ヒラメ類などが非乱獲魚種に指定されています。
乱獲魚種と非乱獲魚種は、漁獲規制の内容が異なります。乱獲魚種は、漁獲量や漁獲時期に規制がかけられています。例えば、サンマは、漁獲量の上限が決められており、漁獲時期も限られています。一方、非乱獲魚種は、漁獲規制が緩やかです。マグロ類は、漁獲量の上限が設けられていませんが、漁獲時期に制限があります。
乱獲魚種と非乱獲魚種は、資源管理の重要度も異なります。乱獲魚種は、資源量が減少しているため、資源管理が重要です。乱獲魚種を保護するためには、漁獲規制を強化し、資源量の回復を図る必要があります。一方、非乱獲魚種は、資源量が安定しているため、資源管理の重要度は高くありません。しかし、非乱獲魚種であっても、乱獲に陥らないように、適正な漁獲を行う必要があります。
漁獲可能量の課題と今後の展望
漁獲可能量は、持続可能な水産資源の利用のために欠かせない指標です。しかし、漁獲可能量を正確に算出することは難しく、また、その管理には多くの課題があります。漁獲可能量は、魚種や漁法、海洋環境など、さまざまな要因によって変動するため、正確に予測することが困難です。また、漁獲可能量を管理するためには、各国や関係機関が協力して、漁獲量を制限するなどの対策を講じることが必要です。
最近では、漁獲可能量の課題を解決するために、さまざまな取り組みが行われています。例えば、海洋環境の調査や漁獲データの収集、漁具の改良などが進められています。また、持続可能な水産資源の利用を推進するための国際的な協定も締結されています。これらの取り組みによって、漁獲可能量の課題は徐々に解決されつつあります。しかし、漁獲可能量を正確に算出し、その管理を徹底するためには、さらなる努力が必要です。
漁獲可能量を管理することは、持続可能な水産資源の利用を実現するためには不可欠です。今後、漁獲可能量の課題を解決し、水産資源を未来の世代に残すために、さまざまな取り組みが求められています。