生物多様性を知り保全する:環境用語『インベントリー』深堀り
環境が気になる
先生、インベントリーってなんですか?
地球環境の専門家
インベントリーとは、地域に分布する動植物の種類目録のことだよ。生物多様性を研究、保全、利用する上で最も基礎となるものです。
環境が気になる
へぇ、インベントリーってそんなに重要なものなんですね!
地球環境の専門家
そうだよ。だから、分類学者など世界中の専門家が協力してインベントリー事業に取り組んでいるんだよ。
インベントリーとは。
「インベントリー」とは、環境用語で目録を意味します。生物学においては、地域に分布する動植物の種類目録や分布図を指します。インベントリーの作成は、生物多様性を研究、保全、利用する上で重要な基礎となります。しかし、全分類群のインベントリーを作成することは、非常に労力と時間を要する大事業です。
そこで、「世界分類学イニシアチブ」や「地球植物誌計画」などのように、分類学者など世界中の専門家が協力してインベントリー事業に取り組んでいます。また、コスタリカのインビオ(INBio)をはじめ、国レベルや地域レベルで、あるいは分類群ごとのインベントリーを整備する計画も世界各地で進んでいます。
日本では、生態学会や植物分類学会などの研究者が取り組んでいるほか、環境省の生物多様性センターでは、専門家の協力により生物多様性調査など全国レベルの調査を実施して、野生生物分布などインベントリーを作成し、生物多様性情報システム(J-IBIS)による情報提供を推進しています。
生物多様性研究の基礎:インベントリーとは
インベントリーとは、ある地域の生物の種類と分布を記録し、調査することです。生物多様性研究の重要な基礎であり、生態系を理解し、保全戦略を立てるために不可欠です。インベントリーを実施することで、その地域の生物相を明らかにし、希少種や絶滅危惧種の生息状況を把握することができます。また、生息地の変化や外来種の侵入など、生物多様性に影響を与える要因を特定することも可能です。インベントリーは、研究者や自然保護団体だけでなく、地域住民や行政も協力して実施できる活動であり、生物多様性の保全に貢献することができます。
インベントリーの重要性:生物多様性保全と持続可能な開発
インベントリーは、生物多様性保全と持続可能な開発において重要です。生物多様性保全は、生態系のバランスを維持し、人類の生存に不可欠な資源を守るために重要です。また、持続可能な開発は、現在の世代のニーズを満たしつつ、将来の世代のニーズも満たすことができる開発です。インベントリーは、これらの両方の目標を達成するために役立ちます。
インベントリーは、生物多様性の分布や個体数を正確に把握するための重要なツールです。この情報は、生物多様性の保全計画を策定したり、持続可能な開発のための土地利用計画を立てるために利用されます。
例えば、ある地域に絶滅の危機に瀕した種が生息していることをインベントリーによって知ることができれば、その種の保全のための措置を講じることができます。また、ある地域に貴重な生態系があることをインベントリーによって知ることができれば、その生態系を保全するための土地利用計画を立てることができます。
インベントリーは、生物多様性保全と持続可能な開発のために不可欠なツールです。インベントリーによって得られた情報は、これらの両方の目標を達成するための計画を策定するために利用されます。
世界分類学イニシアチブ:グローバルなインベントリー事業
世界分類学イニシアチブグローバルなインベントリー事業
生物多様性保全の取り組みにおいて、インベントリーの作成は不可欠な作業です。インベントリーとは、生物の分布や生息状況を調査し、記録することで、生物多様性を把握し、保全のための計画を立てるために必要となります。
世界分類学イニシアチブ(Catalogue of Life CoL)は、世界中の生物のインベントリーを作成することを目的とした国際的なプロジェクトです。1998年に発足し、現在では180カ国以上が参加しています。CoLの目標は、地球上のすべての生物の属名、種名、英名、シノニム、学名、などすべての情報を集め、公開することです。CoLのデータベースは、科学者、政策立案者、教育者、一般市民など、さまざまな人々が利用しています。
CoLは、世界中の標本館や博物館、その他の生物の所蔵機関と協力して、インベントリーを作成しています。CoLのデータベースには、現在、約200万種の生物の情報が登録されています。CoLは、毎年、新しい情報を追加しており、最終的には、地球上のすべての生物のインベントリーを作成することを目指しています。
CoLのインベントリーは、生物多様性保全のために重要な役割を果たしています。CoLのデータベースは、科学者が生物の分布や生息状況を把握するのに役立ちます。また、CoLのデータベースは、政策立案者が生物多様性保全のための計画を立てるのに役立ちます。CoLのインベントリーは、生物多様性保全の取り組みにおいて、不可欠なツールとなっています。
コスタリカのインビオ:国レベルでのインベントリー整備
コスタリカのインビオ国レベルでのインベントリー整備
コスタリカには、インビオ(INBio)という国立研究所があり、生物多様性のインベントリーを整備しています。インビオは、1989年に設立された非営利団体で、コスタリカの生物多様性を調査・研究し、その情報を世界に発信することを目的としています。インビオは、コスタリカ政府や国際機関からの資金提供を受けており、世界中から研究者が集まっています。
インビオは、コスタリカの生物多様性を調査するために、全国各地に調査地を設置しています。調査地では、植物、動物、微生物などの生物を調査し、その情報をデータベースに登録しています。インビオのデータベースには、現在、約100万種の生物が登録されており、世界最大の生物多様性データベースのひとつとなっています。
インビオは、生物多様性のインベントリーを整備することで、生物多様性の保全に役立てています。インビオのデータベースは、生物多様性の分布や変動を把握するのに役立っており、生物多様性の保全計画を策定する際に活用されています。また、インビオは、生物多様性の保全を目的とした教育プログラムを実施しており、生物多様性の重要性を国民に啓発しています。
日本のインベントリー事業:生態学会や植物分類学会の取り組み
日本のインベントリー事業生態学会や植物分類学会の取り組み
日本のインベントリー事業は、生態学会や植物分類学会など、さまざまな団体が取り組んでいる。生態学会は、1923年に設立された日本最大の生態学の学会である。生態学会では、1995年から「日本の生物多様性に関するシンポジウム」を開催しており、日本の生物多様性に関する研究成果を発表している。また、生態学会では、2002年から「日本の生物多様性に関するデータベース」を公開しており、日本の生物多様性に関する情報を提供している。
植物分類学会は、1882年に設立された日本の植物分類学の学会である。植物分類学会では、1997年から「日本の植物目録」を発行しており、日本の植物の分類情報を提供している。また、植物分類学会では、2002年から「日本の植物データベース」を公開しており、日本の植物に関する情報を提供している。
生態学会や植物分類学会の取り組みは、日本の生物多様性に関する情報を収集し、公開することで、生物多様性の保全に貢献している。